New generation wooden boat studio
新世代木艇工房
  人力ボートレース艇の設計と造船指導

2008年5月24日〜
第3回ウッドンボートビルダーズミーティング(WBBM)でA級ディンギーを持ち込んできた都内の高専より、突然人力ボートレース艇の設計と造船指導の依頼を受けました。レースは7月20日とのことである。頭の中で逆線表を引いてみる。6月中には艇体を完成させなければならない。かなりキツイけど以前から人力ボートレースに興味があったので引き受けてしまった。その晩のWBBMの懇親会では沖縄出身の仲間とサバニについて語りあい、そうだ、造波抵抗の少ないサバニ船型でいこうと考える。

さっそく基本検討
一人乗りで作りやすく軽くそこそこのスピードでとイメージを主要項目に数字化する。
全長 4.8メートル(ラダー含まず)
全幅 1.5メートル以下
片ハル全幅30センチ以下
艇の形状 カタマラン
船型Vボトム(排水型 ダブルエンダー)
船体重量 20K以下
目標スピード 巡航6ノット
乗員1名? 70K

推進装置 10K
目標0総重量 110K以下
造船工法
S&G工法。
ラフデッサンからオフセットを作り各種計算
濡れ面積も多く水に突き刺さる量も多い。また、強度も心配なのでWチャインに変更
オフセットの数字を曲率解析しながら押したり引いたりしばがらサバニのキールカーブやエリアカーブに近づけていく。ただし、5分の盗みは流体力学上疑問視する人も多いため今回は採用しない


 

 

単位

 現行

 修正

乗員重量

 

s

45

45

全長

 

M

4.62

3.96

全幅

 

M

0.287

0.314

水線長

 

M

4.33

3.71

排水量

 

0.0652

0.652

最大断面積

 

u

0.0277

0.03136

排水量長さ係数

CP

 

0.5438

0.5604

濡れ面積

 

u

1.18

1.07

 

LCB

 

-0.052

-0.052

6月1日〜
高専の先生と学生4名が工房に来訪し初打ち合わせを行う。

わかったことはスラロームを含め全種目に参加するとのことだ。カタマランは旋回性能が悪い。しかし、サバニ船型でバウが極端に薄いので少しは旋回できるか
乗員重量は、最重は90Kオーバー最軽は50Kの体重だそうだ。30k以上の重量さになやむが、重たいほうで設計する。

フリーボードはスターン 12 −15.6cm バウとしたが、レース海域は波がほとんどたたないので、もっと低くても良い気がします。

このオフセットから図面化してみましたがあまりにも細いハルで強度が心配になり、レース参加経験者のGLラボの土井さんに相談してみたところ、普通4メートル前後で、速長比より濡れ面積を減らすほうが良い結果がでそうだとの意見をいただきました。また、運搬等の運用性も考慮したほうがよいとのことでした。検討の結果以下のように修正し、図面をかきましたがまだ細いようです。3DCADがあると立体で確認できるのですが・・・・なお、数値も図面も片ハル分です。

ここまでくれば、後は展開図面をつくるだけです。
学生たちは試験weekだそうで造船着手は6月21日ににきまりました。資材の準備と型板の作成をしました。



6月21/22日
午前10時過ぎに学生たちは先生に引率されて到着しました。簡単にS&G工法の説明後、ただちに1グループは外板の切り出しと簡易スカーフを、別グループはステッチです。21日は学生たち工房の床の上で寝袋で就寝、翌朝は、朝6時ごろには作業スタート。お昼過ぎ土井さんが陣中見舞いにきてくれました。学生たちにスクリューの理論をわかりやすく解説。さすが飛行機屋 私も楽しく聞かせてもらいました。さて、22日夕刻には船体はほぼ形になりました。このように早いペースの造船は私はかって経験したことがありません。若い学生の集中力と体力に脱帽です。

6月27/28日
28日には高専に持ち帰りたいと懸命の作業が続きましたがエポキシの硬化時間はどうしようもありません。しかし、デッキも貼りエポキシの浸透までやってしまいました。エポキシが硬化したら高専まで持ち帰れます。
7月5日に高専に艇体を搬入しました。その場で2×材で船台も作りました。この後、2つの船体をつなぐビーム材の土台とウレタンニスを塗れば艇体は完成です。この時点でもメカ(推進装置等)は模型の段階です。間に合うかな

7月13日
レース1週間前、ついに高専のプールで進水しました。
はじめはひとりで 喫水ラインは良いようです。2人乗るとさすがに沈み気味 でも、強度も浮力も十分です。推進装置はまだできていないので人力で押してみたら軽く動いたそうです。学生たち時速15km以上を予感したそうです。

さてメカは間に合うでしょうか? 徹夜してでも学生たちに頑張ってもらうしかありません。
次の金曜日の夕刻はメカとの結合試験 そして翌日土曜日はレースの開会式次の報告はレース結果を含めてとなります。絶対 DNSとDNFだけはないように。頑張れ某高専の学生たち
 7月19日 昼前にレース会場の三保に到着、次から次とレース艇が搬入される。しかし、高専艇は・・・ 携帯で連絡すると メカの調整中(実は金属部品の切り出し中)明日の早朝にはつくとのことだが実際の到着は7月21日早朝となった。
受付で高専艇は到着が遅れる旨報告し、各艇を見回る。単なる箱のようなフロートからカーボンファイバーの美しい船体までさまざまで楽しく見物、見る限り木製船体は一隻もない。
夕方韓国の釜山大学が修理を始める。見るとデッキとハルが剥離している。遠路きて修理材料や道具もなく困っているようなのでエポキシとガラステープの提供をした。学生達はディスカッションをよくし、リーダーが方針をまとめるとただちに作業に入るようだった。発電機の電灯ひとつで深夜まで熱心な修理作業はつづいた
7月20日 早朝、高専艇がきて、すぐ海上TESTできるように支援艇MT250を海岸に運ぶが・・・・・・
第一レース前にGLラボ ろかいの会のそうそうたるメンバーが応援にきてくれたが肝心の高専艇が・・・・ この日は短距離のスピードレースだが、トリマランの転倒やタンデムのりの落水が目に付いた。そのころも高専では必死のメカ作成作業が続いていた。

7月21日早朝ようやく到着、ここまで学生たちは3日連続の徹夜作業だった。
3連徹後でもすぐに組み立て船検も合格これで残ったレースに出場できます。

レース直前のテストをしようとしてチェーンが海中に脱落してししまいました。これがないとはしれません。5分間ほどで見つかりました。
すぐに対策をとり修理・・・・
実はこの後もレース間に同じように対策修理です。
レース結果です。
スラローム  チェーンの脱落は防いだもののすぐはずれ途中リタイア
30分   チェーン及びメカトラブルで、完走できたものの最下位
1時間   最下位でのスタートだが、あっというまに4艇抜き去る。これはいけるとおもいきやピットイン このレースで3回もピットイン 結果は22艇中(ソーラを含む)18位
表彰式では特別賞をいただきました。反省点をいかし、再度チャレンジして欲しいです。
高専の学生達は 次のチャレンジとして、プロペラをマシンで削りだす等の改善をし、隅田川と 東京港を経由して、品川キャンパスから荒川キャンパスまでの航行を計画 しているとのことです。
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